DE ROSAは基本的にロードバイクのブランドですが、近年はSPORTS UTILITY BIKEのMetamorphosisや、日本未導入ではありますがE-BIKEなど、ジャンルを超えたモデルをラインアップしています。現在はカタログ落ちしていますが、2018と2019シーズンはカーボンフレームのハードテイルMTB、27.5インチのBIG、29インチのBIGGERをリリースしました。
しかし彼らは80年代後半。アメリカ発のマウンテンバイクが世界的なブームとなった当時、スチールフレームのMTBをリリースしていました。冒頭の写真は弊社の資料で、DE ROSA35周年モデルも掲載された1988年のカタログ、そのなかの一枚です。COLUMBUSのMaxチューブを使用して組まれたものですね。コンポーネントですが、シマノを使わずカンパニョーロのEUCLID(ユークリッド)を使うあたり、この時代のDE ROSAらしい。組み上げられた雰囲気は当時のロードモデルとは違った美しさがあります。そしてカタログにはFamilyの写真もありました。あたり前ですが、皆さん若い!
さて、話を現代に戻します。今回の話題はDE ROSAのMTBですが、2018年と2019年モデルにラインアップされたBIGとBIGGERのお話。このモデルの生産が決まった時にCristianoから受けたプレゼンテーションは、ざっくり言って「サイクリストが自転車と楽しむパターンが多様化しているなかで、オフロードにも興味のあるDE ROSAユーザーを取り込むもの」でした。都市部や山岳、ちょっとしたシングルトラックが半径50㎞くらいで完結できるミラノならではのアイデアだなぁと思ったことを記憶しています。E-Bikeも基本的にその流れです。完成したバイクはとてつもなく綺麗なブルーにペイントされ、DE ROSAらしいラグジュアリー感。当時はイタリアで日本語版のカタログ撮影を行っていたのですが、美しいブルーのMTBを、綺麗な光が射す緑のなかでロケを行うことにしました。土埃に寄せるのではなく、シングルトラックや、広々として背景の抜けが良い緑多き公園など。モデル兼ライダーはミスターデローザ、Cristiano。
お茶目な彼は撮影中に「笑い」を提供してくれます。ベンチで昼寝している男性にそっと近づき…
芝生の上で同じポーズ(笑)
では、これは何を表現していると思いますか?
勢いあまってバイクだけが木に引っ掛かり、前方に投げ出された自分は倒れてイテテ…
(いずれも2018カタログのオフショット)
これは2019年の撮影。大都市ミラノの中心街からクルマで30分くらいのところにあるフィールド。やっぱり環境がいいですね。
そんなこんなでBIG/BIGGERのお話しでしたが、これがタイトルにある「ちょっといい話」に接続します。
先月はDE ROSA試乗会九州シリーズとして、長崎のサイクルフレンドタカタさん、福岡久留米のイワイスポーツサイクルさん、そして熊本県「道の駅阿蘇」で開催されたDemo Day in 阿蘇で、多くの皆さんに試乗を体験していただきました。ご来場くださった皆さん、ありがとうございました。阿蘇の試乗会は生憎の天候でしたが、こんな方がDE ROSAブースを訪ねてくださったのです。
なんと希少なDE ROSAのMTB、BIGGER!
正直に申し上げて、BIGGERもBIGも数多く販売されたモデルではありません。値段も値段ですし。しかし、このオーナーさんは阿蘇で開催される試乗会にDE ROSAが出展することを知って、わざわざ乗ってきてくださったのです(おそらく、そう遠くないところにお住まいかと)。
これだけならよくある話かもしれません…
好きなんだもの わたしはいま 走っている…
しかし…彼はなな、なんと17歳!
聞くところによると、13歳の時にDE ROSAのMTBシリーズを知り一目ぼれ。なにぶんにも数が出回っていません。4年間探し続け、苦労の甲斐あって自ら手繰り寄せたご縁。やっと見つけたBIGGERは、なんと北海道にあったそうです。それを取り寄せ、4年越しの想いを成就させたというわけ。DE ROSAのオーナーさんはどちらかと言えば年齢層が高めなので、若い人に響いて、愛していただけることは何よりも嬉しいです。
BIGGERで走る17歳の地図は白紙です。地図はDE ROSAとともに君自身が書き込むのだ!